読んだ

納棺夫日記 増補改訂版 (文春文庫)

納棺夫日記 増補改訂版 (文春文庫)

おくりびとの原作。映画が納棺の儀の神秘性とかそれを通して再生される故人と家族との絆みたいなものに主眼を置いてた一方、原作の方は作者が納棺夫の仕事を通じ様々な体験をすることで得た新たな「死生観」と宗教の結びつき、とりわけ「死とどのように向き合っていくか」という人としての根源的な問題を中心に思索を重ねていくなど、作品としての方向性に大きな違いがあり映画と同じ流れだと思って読むとちょっと面食らうかも。現代人の「死への不安」に対し上手いこと対処できてないという、現場の目線から見た現代宗教の問題点の指摘には、実家が寺ということもあって個人的に色々考えさせられた。
三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)

自然の猛威を前にどうすることも出来ない人々の無力さと、その後の大堤防建設を含めた「もう悲劇は繰り返さない」という地元の人々の力強い意思がコントラストになっていて悲惨な内容ながらも不思議と読後感は良かった。一回田老万里の長城観に旅行でも行こうかな。